伝統芸能の動きの中には身体の使い方の極意がある
ここのところ、毎日、このブログを更新していますが、これは3月に、忙しい中でも自分が感じたこと、インプットがたくさんあったので、それを忘れないようにアウトプットしておこうという試みです。
一応、今日が最終日の予定です。
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NHK Eテレで毎週土曜22時から放送している『SWITCHインタビュー達人達(たち)』という番組が結構好きで、ちょくちょく観ています。
3月11日(土)には「大友良英×稲葉俊郎」が放送され、自分は大友さんがどんなことを話すのかに興味があって、16日(木)再放送を観ました。
大友さんは、自分が大好きでどハマりしたNHK連続テレビ小説『あまちゃん』の音楽担当の方です。
あの、小泉今日子さんが母親役で出ているということで、最初は冷やかしで2週目あたりで観てみたのですが、まず最初に大友さんの劇中音楽が良いなあと思って観続けることにしました。
そして、そのまま宮藤官九郎さんの脚本の面白さに魅かれ、そのまま最後まで毎日楽しくずっと見続け、サントラCDもすべて購入し、果ては譜面を起こして、自分のバンドで『あまちゃんオープニングテーマ(ロングバージョン)』を演奏したほどハマりました。
いやあ、面白かったですねえ、『あまちゃん』。
というわけで、『あまちゃん』の話を始めると長くなるので、やめます。
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さて、しかし、今回の『SWITCH』は、大友さんのお相手の、稲葉俊郎さんのお話がとても興味深かったのでした。
稲葉さんは、東大病院の循環器内科に勤務している西洋医学のお医者さんでありながら、東洋医学も学ばれ、さらには能まで舞われて、包括的な医療の形を模索されているお医者さんです。
稲葉さんのお話の中で面白いなあと思ったのは、日本の医療はすべて舶来モノだ、ということです。
飛鳥時代以降、仏教とともに漢方が伝来し、その後、江戸時代になって蘭学とともに西洋医学が広まるようになった。
そんなことを考えたことがなかったので、知識ゼロでのただの感想ですが、言われてみればそうだなあと。
そして、稲葉さんは言葉を続けます。
日本独自の医療技術は、様々な「道(どう・みち)」に発展したのではないか、と。
「道」とは、剣道、柔道、弓道、合気道、茶道、華道、書道など。
身体を使った武道の方面だけでなく、芸術・芸能の方面(芸道)でも、心と身体の調和を説き、その様々な所作には真理が込められており、それが予防医学の役割を果たしていた、という考え方です。
伝統芸能の動きの中には身体の使い方の極意がある、という考えに基づいて、実際、稲葉さんは能楽の稽古に励んでいらっしゃいます。
そう言われれば、能の歩き方、動き方、声の出し方など、体幹が強くないと美しくない、というかそもそも出来ないだろうし、腹式呼吸でなければ場内に響かないだろうなと察せられます。
そして、たぶん、すべてがいわゆるマッチョな力を使ってではなく、一連の自然な流れとして行われているのではないかと思うのです。
こうなってくると、すべてに通じるなと思いますよね。
少し脱線しますが、Wikipediaによりますと、
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『道』 一般名詞 武芸(日本)
日本における価値観。
哲学とも言われ、一つの物事を通じて生き様や真理の追究を体現することや自己の精神の修練を行う事。
「残心」に代表される日本独特の所作や価値観を内包する。
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『道(哲学)』
道(どう・タオ・Tao・みち)とは、中国哲学上の用語の一つ。
人や物が通るべきところであり、宇宙自然の普遍的法則や根元的実在、道徳的な規範、美や真実の根元などを広く意味する言葉である。
道家や儒家によって説かれた。
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とあります。
武士道、仏道、医道、芸道、政道といったものから、人道、王道、覇道など、たくさんの「道」があります。
日本語ってすごいな、昔の人はすごいなと思うことしばしばですが、太陽のことを「お天道さま」と呼ぶなんて、日本人の精神性と密接に関わっていると思いませんか?
閑話休題。
さて、この番組の本放送が震災から6年目の3.11だったのは偶然ではなく、大友さんも稲葉さんも福島に対して様々な働きかけをされて来られた方々です。
稲葉さんは、震災直後から何度か福島に入り、医療ボランティアを行ってこられたそうです。
「道具や医療器具がすべて流されて、自分に出来ることがないと、医療スタッフが皆うなだれていて。
でも、それって違うなって思って。
現代医療を本当に見直しさせられた」
「何もない場所でも医療行為を出来るのがプロ。
ただ人の話を聞くとか、何か手伝うことでも、大事な医療行為になりうる」
「西洋医学では、病気は治りましたね、というところまで。
東洋医学は身体を一つの世界と考え、病気というのは、その調和が乱れている状態だから元に戻せばよいと考える」
西洋医学のプロである稲葉さんが、このように語っておられるということは、本当に心強いなと思いました。
Eテレ、なかなか侮れません。
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■NHK 『SWITCHインタビュー達人達(たち)』公式サイト
P.S.
この番組の後半、対談の場所は大友さんのゆかりのスタジオでということだったのですが、スタジオの入口あたりから、なんか似てるなあと思っていたら、やはり、思っていた通り、吉祥寺のGOKサウンドでした。
ここは、自分が人生で初めてレコーディングなるものをさせて頂いたスタジオで、その後も何度か違うバンドでのレコーディングやらリハやらでお世話になりました。
大友さん御用達のスタジオだったとは。
\(◎o◎)/!