文化系は内側が強い

SWITCH以前にも書きました、NHK Eテレで毎週土曜22時から放送されている『SWITCHインタビュー達人達(たち)』、今回は5月6日(土)O.A.「中島美嘉 × 坂本眞一」の回を観ましての感想です。

中島美嘉さんは、言わずと知れた歌手であり、女優もされている、デビュー16年目の方です。

その中島さんが会いたいと指名されたのが、漫画家の坂本眞一さんでした。

坂本さんのことも作品も自分は知らなかったのですが、登山を主題にした『孤高の人』が代表作だそうで、今はフランス革命前夜が舞台で、処刑人が主人公の『イノサン』という作品を連載中なんだそうです。

そして、その『イノサン』に出てくるマリーというキャラクターに中島さん惚れ込んでいるということで、この対談となったそうです。

以下、番組の進行順に、自分が「お!」と思った言葉を綴っていこうと思います。

前半は、坂本さんのアトリエに中島さんが訪れて、中島さん側からのインタビュー。

坂本さん(以下、敬称略):

才能で勝負する世界は男女関係ない。
男でも女でも子供でも老人でも面白いものが描ければ、それが一番、チャンピオンという、いわば夢の世界。

自分に子どもが出来、社会参加することで、漫画の紙の上での悪とか正義には納まらない世の中の不条理がどんどん見えてきた。

その苦しみや困難を主人公、キャラクターに代弁してもらうというスタイルをとった時に、自分のスタイルが出来てきた。

だから自分の作品は、読む人にとってはストレスや苦しみがダイレクトに感じられると思うが、それが今を生きているという証と感じてもらえたらいいなと思う。

中島さん(以下、敬称略):

白か黒かと訊かれると、自分は分からないので、グレーでいいやと思っている。

坂本:

売れるものを描かなければいけないという縛りが、自分の磁石を狂わせる。

ここで、坂本さんが前作『孤高の人』の途中から試みているという、漫画界の常識を覆すような、擬音を描かないということに話が移ります。

『イノサン』を読んでいて、中島さんは、擬音がないことに気が付かなかったそうですが、逆にとてもリアルに伝わってくると仰っていました。

坂本:

漫画を一度は辞めようと思った瞬間も多々あって、だったら自分のやりたいことをどんどんやっていこうと思った。
日本では漫画の読み方が習熟しているので、読者を信用して擬音を書くことをやめた。

「ドッカーン!」とか「グシャッ!」とか、そのものを描くのは一番簡単な方法だがそうではなく、まったく違うことを表現してみせたとしても、その方が読者の頭の中では、よりリアルな音が鳴っているのではないか?

漫画の表現の自由度の可能性の話で前半終了。

後半は、中島さんがよく使っているというスタジオに坂本さんが訪れて、坂本さんからのインタビュー。

中島:

基本的にルールはあまりない。ジャンルも問わない。

ただ聴いて「好きか嫌いか」。聴いて、第一印象で「耳に残るか残らないか」。
自分が一番素人耳でないといけないと思っている。

周りのスタッフが感動しなければ、ファンが感動するわけがない。
私は、自分には自信がないが、周りのスタッフが素晴らしいということは自信を持って言える。

中島:

歌手になる予定はなく、覚悟もなかった。ここ数年でようやく自分の立ち位置、居場所を見つけた感じ。

自分は歌手ではなく、代弁者と名乗っている。

中島さんは、2014年、31歳で全日本バレーボール代表の清水邦広選手とご結婚。

中島:

(清水選手から)メンタルトレーニングを教えてもらい、それだけで声が出るようになったり、歌う時に使う筋肉のトレーニング方法を学び、今まで出なかった声が出るようになった。

中島:

歌の仕事は8割が苦労や困難。2割の喜びを求めて、そこを乗り越えている感じ。

本当に人には恵まれている。15年ずっと同じスタッフに囲まれているのは稀有。

ここから締めに向かうのですが、今回、自分が一番グッと来たのは、ここから。

坂本:

文化系は、とかく内気で弱いというイメージを持たれているが、違う。
一つの作品を作り上げて、さらされて、評価されていて、精神という部分では、ものすごく強いものを持っている

中島:

外の傷はすぐ治るが、内側が強くないと出来ない仕事

賛否両論色々聞こえてくるが、たとえ否定的な見解であっても、言ってもらえるということは、聴いたり、読んだりしてくれているということだから、どのみち「ありがとう」ってこと

坂本:

否定という言葉に構っていられない時もある。自分は信じてやっているのだから。
許せないことが起こったら、いいネタをもらったと思って、作品に書く。

以上で公式の収録は終わるのですが、まだカメラは回っていました。

中島:

耳の病気はうまくつきあっていく、「ギフト」だと思って
だからこそ、この表現力が身についたのだと思うし。

以上です。

面白かったです。

自分も表現者の端くれとして、共感できる部分、なるほどなあと感心する部分がたくさんありました。

何より、「文化系は内側が強い」ということに、「よくぞ言ってくれた、その通り!」と拍手を送りたくなりました。
(≧◇≦)

だからこそ、自分は、文化系で頑張っている方々を整体を通じて応援したいと思っています。

中島さんが、ダンナ様である清水選手に筋トレを教えてもらって、今まで出なかった声が出るようになったように、自分の所にも、体幹チューニングや体操を行って、今までより上の音の限界が半音上がったと仰って下さるヴォーカリストの皆さんからのお声を頂いています。

昨日のブログ「身体のバランス ~管楽器演奏と武道の共通点~」にも書きましたように、文化系の方々にとっても身体は基本で資本で土台なのです。

そして、中島さんも坂本さんも仰っているように、表現者は自分の身に起こったすべてのことを、その表現に昇華することが出来る、これは表現者ならではの特典と言いますか、強みだと思います。

整った身体で、クリアな思考で、思いっ切りご自分を表現して頂きたいです。

そして、それがきっと、世の中の活力に繋がっていくはずですから。
(^^)v

■NHK 『SWITCHインタビュー達人達(たち)』公式サイト